【ペンの形の話】削ぎ落とした先に、残るものがある。
- ものづくりと書くことに共通する、「引き算」の話 -
こんにちは、りょう です。
いくらPCやスマホが発達しても、ボールペンってやっぱり使う機会ありますよね?
そんなボールペンですが、みなさんペンの太さや形状はどういったものが好みでしょうか?
木軸ペンに限らず、ペンの形っていろんなものがありますよね。
僕が製作している『木綴』のペンですが、現在は形状が一種類しかありません。
先に結論を伝えると、『Simple is best』がやっぱり良いね‼︎ってことです。
今回は、なぜこの形なのか。という話を書いてみます。
ペンを使う側からはなかなか見えない、作り手の内側の話になります。
ぜひ最後までお付き合いください。
形状が決まるまでは
旋盤(ペンの形に加工する機械)の前に立つとき、迷う瞬間がありました。
「くびれを入れようか」
「飾りのリングを付けようか」
「もう少し装飾を加えれば、豪華に見えるかもしれない」
「グリップ部はどうしようか」
形状が決まる前の試作段階では、手を動かしながら、頭ではさまざまな考えが渦巻いていました。
もっと良くしたくて。他の作家との差を出したくて。作り手の技術が目に見えるようにしたくて。
でも、そこからやらない事を決めていきました。
削ぎ落とすことを選んでいく。
そうして、けっきょく最終的にはシンプルが最強だなって思ったんです。
木綴のペンは、ストレートな円柱の形をしています。 木軸部分の装飾はない。くびれもない。直径10mmの、ただ真っ直ぐな棒。
木軸ペンの世界では、握りやすさを追求したグラマラスな曲線や、装飾的な金具を使った華やかなペンがたくさんあります。
それらはもちろん美しい。木の温かみを表現する、素晴らしい形です。
でも、僕が作りたかったのは、少し違うものでした。
飾ってコレクションして満足するのではなく、しっかりと実用的に使えるペン。
主張しないけれど、確かな存在感がある。そんな「名脇役」のようなペンです。
シンプルなものほど、誤魔化しがきかない。
最初にこの形を選んだとき、正直、少し怖かったんです。
「シンプルすぎる」と思われないか?
「手間がかかっていない」と思われないか?と。
でも、つくりながら気づいたことがあります。
シンプルなものほど、誤魔化しがきかない。
装飾がある形なら、少しの歪みは隠れます。でも、真っ直ぐな円柱は、0.1mmの狂いがそのまま見える。
金具との段差も、表面の磨きの甘さも、全部露呈する。
僕自身、会社員として毎日0.001mm単位の仕事をしているので、0.1mmとかってなるとかなり気になってしまうんです。
職業病みたいなもんですね。
ちなみに、0.1mmってどのくらいかというと、ちょうど「コピー用紙1枚分の厚さ」といえばイメージしやすいでしょうか。
「ただの真っ直ぐな棒」をつくることが、実は一番難しい。
削るたびに、そのことを思い知らされます。
形を消すことで、素材が際立つ。
形状をシンプルにすることには、もうひとつ大きな意味があります。
木軸ペンの主役は、あくまで「木」です。
黒檀の漆黒、ウォールナットの複雑な杢、チェリーの温かい肌触り。
形が複雑すぎると、視覚的なノイズが増えて、せっかくの美しい木目や質感が形状の影に隠れてしまう。
「形を消すことで、素材が際立つ」
これが、木綴の考えるラグジュアリーの定義です。
あえて足さないことで、一番大切なものが見えてくる。そう思います。
邪魔をしない道具が、いちばんいい。
もうひとつ、この形にした理由があります。
それは、毎日使うものだからこそ主張しすぎないこと。
派手なデザインは、最初の一瞬は目を引きます。でも、毎日手帳を開くたびに存在感を主張してくるペンは、じわじわと疲れてくる。
どんなノートにも、どんな手帳にも、どんな服の胸ポケットにも、静かに溶け込んでくれるもの。
「シンプルは飽きない」ではなくて、「シンプルだから邪魔をしない」という感覚に近いです。
書くことに集中したいとき、ペン自体のことを考えなくていい。
それがいちばん、書く道具としての正解だと思っています。
書くことも、同じだと思う。
ペンの話をしていて、書くことにも同じことが言えると感じています。
手帳を開くとき、うまく書こうとすると手が止まる。
きれいな文章にしようとすると、本当のことが書けなくなる。
「うまく見せる」ための言葉を全部削ぎ落として、今感じていることをそのまま書いていくのが大切。
飾らない言葉だけが残ったとき、そこに書かれているのが、自分の本音だったりするのではないでしょうか。
ペンも、文章も。 削ぎ落とした先にあるものが、一番本質に近い気がしています。
このSubstackでは、そういうことを正直に書いていこうと思っています。
うまい文章じゃなくていい。格好いい職人の話じゃなくていい。
ただ、自分が感じたことを、そのまま。
読んでくれているあなたの日々の中に、何かひとつでも届けばいいなと思っています。
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りょう|木綴 -mokutsuzuri-




「飾らない言葉だけが残ったとき、そこに書かれているのが、自分の本音だったりするのではないでしょうか。」この一文に「ホントそうだよなぁ」と感じ入りました。私は真桜のペンが柔らかそうで好きです。